不知火が収穫されるまで/収穫時期と美味しい食べ頃




4月11日の蕾の頃です。ハウスの中は蕾の香りで充満しています。
とっても心地よい空間です。




4月中旬〜5月上旬にかけては蕾が一気に開花して綺麗な花を咲かせます。
蕾の時以上に甘〜い花の香りでハウス内は充満し、ずーっと居たいと思わせる空間です。
この時期のハウス内の温度管理はとても重要です。ほぼ不知火の形が決まります。
花の時期に温度が高すぎると細長い西洋ナシのような形の不知火になってしまいます。




5月11日の果実です。
親指程の小さな果実で、まだまだ頼りない果実です。
表皮はまだまだ弱い果実ですので、この時期にしっかりと管理しておかなければ
キズの多い不知火になったりします。
 



8月26日の果実です。
5月の果実と比べると随分と形が不知火になりたくましくなりました。
この時期は日に日に大きくなっていきますので、毎日の観察が楽しい時期です。




9月19日の果実です。
この頃になると形は不知火の形がはっきりとしています。
サイズも随分と肥大しています。






10月31日の果実です。
随分と色が付いてきて不知火。完成に近づいています。
サイズは9月よりもさらに肥大しています。
果実の重さで枝が折れてしまいますので、
1玉ずつ紐で吊りあげて補助してあげる作業が必要となります。
この園だけでも樹の本数が30本を超えていますので、
玉数ですと相当数ありますので、枝吊り作業も相当時間かけて仕上げました。






上の2枚の写真は
不知火の枝変わりでもある新品種、鹿児島県産の大将季(だいまさき)を栽培する圃場の様子です。
3L〜4Lサイズになると果実が重くなり枝が折れてしまい、
酸が抜けない不知火になってしまいますので、
紐で1玉ずつ吊る作業(枝吊り)が重要なのです。



不知火の収穫時期と美味しい時期

甘味と酸味のバランスが当農園のコクのある不知火を生み出していますが、
『収穫時期と食べ頃はいつ頃なのでしょうか?』というご質問をよく耳にします。

 

不知火の収穫時期

全国さまざまな地方で生産されていますが収穫時期は、
加温ハウス栽培、無加温ハウス栽培、露地栽培、露地樹上完熟栽培等々、方法によって異なります。
全国的には12月から4月前後くらいまでが収穫時期と言われています。

山上農園がある鹿児島県北薩地域の長島町では
加温栽培、無加温栽培、露地栽培の栽培方法別で生産されていますが、
当農園の無加温ハウス栽培の不知火は12月末から1月末に分別採取します。
分別採取とは、糖度が高い樹上部から収穫し、次に赤道部、最後に樹下部の収穫を行います。
全ての収穫が終わるのが1月末になります。
ただ、一部2月まで残るものがありますが、この果実は甘くておいしいです。
収穫が早すぎると糖度があがらないため、
糖度に基準のある不知火は適した時期を見極めて収穫するのが大事だと言えます。



不知火が美味しい時期

不知火が出荷されて市場に出回る時期も、栽培のされ方によって差があります。
加温ハウス栽培の不知火は11月中旬から収穫され、早いものは12月末のお歳暮として扱われます。
無加温ハウス栽培の不知火は加温栽培から遅れること1か月、12月中旬から末にかけて
着色状況や光センサー検査を経て収穫時期を決定します。
露地はさらに遅れて1月末〜2月中旬までに収穫されるのが一般的です。
収穫後に貯蔵している不知火は5月中までは見られますが、
食べ頃としては、自然環境の露地栽培で採れるもので3月から4月頃までとされています。


 

収穫時期と美味しい時期がズレている理由

不知火の収穫の時期と食べ頃には差があります。
普通なら、収穫したての新鮮なものを食べる方が美味しいと思ってしまいますが、
なぜ「収穫時期=食べ頃」とならないのかといえば、
不知火は収穫してから食べるまでの間に
『追熟』することで甘くコクのある味になっていく特徴があるからです。

一般的に、オレンジ系の柑橘は収穫時期と食べ頃の間におよそ1ヶ月ほどの間隔があります。
その理由は、オレンジ系の柑橘は収穫したてだと酸味が強く、
どれほど糖度の高い柑橘でも強い酸味が邪魔となり、美味しく食べることができないからです。
これを防ぎ美味しく食べるためには酸味を抜くための「追熟」がどうしても必要となるのです。

収穫後に倉庫などである程度寝かせて「追熟」することで、
糖度と酸味のバランスが整い食べ頃を迎えることになるのです。